9月から10月にかけて3件の現地調査を行いました。

9月12日から環境研究総合推進費の事業のための現地調査として、琉球大学瀬底研究施設を拠点として備瀬湾の共同調査を行いました。調査期間は全体では月末まででしたが、私自身は最初の1週間だけ参加しました。東京農工大学の梅澤研究室の皆さんによる水質調査や海草の生長量測定が中心でしたが、直前に通った台風の影響で機材の到着が遅れたり、また調査期間中に接近した別の台風の影響で沖合の観測ができなくなるなど、なかなか思うように進まないところもありました。


10月5日から8日までは、石垣島の海草藻場の短期視察を行いました。八重山諸島ではウミガメによる海草の食害が近年深刻化しているため、今後計画している海草藻場の調査を予定通り実施するだけの十分な海草が残っているかどうか査定することが目的です。

正確に同じ場所ではありませんが、白保海域公園内のごく近い場所で撮影された藻場の写真です。コロナ禍以前の2015年の写真では20 cmほどに伸びたリュウキュウスガモが密生していますが、2021年では10 cm前後になっており、2022年になるとさらに短く、また密度も低下して閑散とした状態になっていました。とはいえ、予期していたほどに壊滅的な状況ではないようです。今後の回復が望まれます。


10月18日から25日までは JST-JICA SATREPS 事業 BlueCARES プロジェクトでのおそらく最後となるフィリピンでの現地調査を実施しました。コロナ禍以前に行っていた調査の続きで、プロジェクト目標のBlue Carbon Strategyの眼目となっている”Bay-scale silvofishery”構想の一部として、パナイ島北部にあるバタン湾において養殖漁業との関連で海草藻場が有する生態系サービスの実証をすることが目的です。また並行して、樹齢700年に達するマングローブがあると言われている保護林で、生態系の長期遷移を解明する目的で長さ2メートルの土壌コアのサンプリングを実施しました。少なくとも最近700年間はずっとマングローブだったはずですが、それ以前は何だったのかを知りたいと思っています。