大槌湾における観測

2019年5月27日から30日、岩手県大槌市の大気海洋研究所国際沿岸海洋研究センターにおいて観測研究を行いました。グランメーユ(研究船)に乗って大槌湾を調査しました。大雨にも遭遇しましたが、サンプリングは無事に終わりました。

A field research was conducted at the International Coastal Research Center of the Atmosphere and Ocean Research Institute (AORI) from 27th to 30th May 2019. We were onboard a research boat and collected samples in Otsuchi Bay which is located in the Sanriku region. There was heavy rain during our field work but we managed to obtain all the samples needed.

 

沿岸海洋研究センターからの眺め

The view from the International Coastal Research Center.

センター入り口。このセンターは2018年にオープンされたので、まだとても新しいです。

The entrance of the center. This center was newly inaugurated in 2018.

そろそろ船を乗りに行きます!

Getting ready for the cruise!

シンポジウム「GEOTRACES-Japanの現状と今後の展開 」

「GEOTRACES-Japanの現状と今後の展開 」

開催期間:2019年2月21日〜22日

開催場所:大気海洋研究所 講堂

 

国際GEOTRACES計画は、海洋における微量元素・同位体の生物地球化学的循環をグローバルな規模で解明していく国際共同プロジェクトです。2017年8月にはIntermediate Data Product 2017 (IDP2017)が発表され、順調な計画の進行状況が公開されました。しかし、太平洋にはまだ未調査の海域が多く残っており、日本が中心となって微量元素・同位体の生物地球化学的循環像を明らかにしていくことが期待されています。そこで、IDP2017後の日本における微量元素・同位体の生物地球化学研究の成果をとりまとめ、GEOTRACES-Japanの活動の現状を把握することを目指し、シンポジウムを開催しました。

2月21日には48名が参加し、12件の研究発表が行われました。また、22日には46名が参加し、17件の研究発表が行われました。研究発表の後には新しい研究計画「Biogeoscapes」が紹介されるとともに、GEOTRACESについての国際的な状況が議論されました。

2月21日の最後には弘前大学被ばく医療総合研究所教授山田正俊先生による特別講演「海洋におけるプルトニウム同位体の動態」が行われました(写真)。

2日間にわたり様々な新しい知見が発表され、活発な議論が交わされました(懇親会も含めて)。本シンポジウムを通して、参加した研究者の相互理解が深まったと思います。今後は共同研究を通じてさらに研究が発展していくと期待されます。

教員紹介 – 乙坂 重嘉

乙坂 重嘉 otosaka(a)aori.u-tokyo.ac.jp

准教授・博士(地球環境科学)

東京大学大気海洋研究所

海洋化学部門・海洋無機化学分野

〒277-8564 千葉県柏市柏の葉5-1-5

 

海洋には、様々な物質が運ばれています。それらの分布を正しく把握するとともに、その成因を矛盾なく説明できるようにすることは、例えば、人類活動によって放出された物質の海洋環境への影響を知るうえで不可欠です。

私は、海水中や海底に存在する微量元素や放射性核種の供給源と行方を追跡するため、海洋観測と化学分析を主な手法とした研究に取り組んでいます。

特に、海水中を浮遊したり沈降したりしながら移動する粒子状物質が、どのようにして海洋における微量元素や放射性核種のキャリア(運び屋)としての役割を果たしているかについて、理解を深めることを主な目的としています。

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柏キャンパス一般公開にてイベントを行いました。

 

柏キャンパスオープンキャンパスが10月26日, 27日に行われました。

海洋化学部門は合同でイベント「星砂ひろい」を行い、盛況でした。

ご来場していただいた皆様、本当にありがとうございました。また来年もお越しください。

(文:原 拓冶)

※ご来場者のプライバシー保護のため画質を落としてあります。ご了承ください。

 

ロシア船航海を振り返って

2018年7月23日から9月13日まで、ベーリング海にて観測を行った。私は、この大学に進学するまでに乗船した経験がなく、あっても観光船にしか乗ったことがなかった。ましてや、大型船に乗って約2ヶ月も海の上で過ごすことなど一度もなかった。だが、その「今まで経験してなかったこと」に好奇心が掻き立てられ、乗船することを決めた。

海上での生活は、陸上と大きく異なる点がいくつかある。例えば、陸上で生活する以上に節約、節水する必要があると言うことだ。今回の航海は50日以上も無寄港であったため、水を含むほとんどの物資は途中で補給されることがない。そのため、食糧不足や水不足が起こる可能性もあり、気の抜けない毎日を送っていた。中でも最も苦しんだことは、慣れない外国の料理と船の揺れである。始めのうちは、外国の料理を食べることに対し新鮮な気持ちを抱いていたが、徐々に慣れて当たり前のようになると、油中心の食事が苦手になった。そこに、船酔いが重なると気分が一層悪くなり、食べ物を口にすることすらままならなかった。実際、私は航海中に3日間連続で拒食状態となった。このような状況でも、船は進み観測は続いた。航海当時は、肉体的にも精神的にも苦痛なものがあったが、今考えるとそれも貴重な体験だったと思う。

この航海には、私のように乗船経験のない若者から何度もロシア船に乗っているベテランまで、様々な研究者が参加していた。乗船中、体調が優れているときは出来るだけ多くの研究者方から話を伺うようにしていた。自分の専門外にある知識や、各々が行っている研究について、多くのことを教えていただいて、自分にとってとても良い学びの場になりました。さらに、前述した船酔いや拒食状態のときも心配して声をかけてくださったり、酔い止めをくださったりして助けていただくことが多々あり、同乗者の方との関わり合いや助け合いがいかに大事かを実感した。

航海では、何事もなければ予め決めていた航路に沿って観測を行っていく。しかし、自然の中では何が起こるかわからない。高波や強風に遭うかもしれないし、霧や大雨が発生することもあるかもしれない。本航海もその例外ではなく、何度か航路の変更を強いられた。それでも、ほとんどの観測を行うことが出来たため、よい成果を持ち帰ることが出来た。

想像以上に過酷だったロシア船航海は、未熟な私を大きく成長させてくれた。人生の中でこれに勝る大きな出来事はない。座って待っているだけでは到底経験することのない長期航海に参加し、それを無事に乗り越えることが出来た。辛いことや苦しいこともあったが、その分達成感も感じられたし、面白かった。このような体験をさせていただいた皆様に心より感謝申し上げます。

しばらく乗船する予定はないが、いつかまた長期航海に参加したいと思う。(文:島崎智広)

  

教員紹介 – 小畑 元

小畑 元 教授・博士(理学)  obata(a)aori.u-tokyo.ac.jp

東京大学大気海洋研究所
海洋化学部門・海洋無機化学分野
277-8564 千葉県柏市柏の葉5-1-5 東京大学大気海洋研究所

海洋における微量元素の分布、存在状態を調べ、その循環過程に関わる化学的、生物学的、物理学的要因を解析する。特に鉄やアルミニウム、白金などの微量金属元素を対象とする。また、海水中の微量元素についての高感度分析法も併行して開発している。

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大気CO2が少なかった氷期の海

1.氷期の大気中二

1. 氷期の大気中二酸化炭素濃度減少の謎

地球環境の詳細な変動記録は氷河の氷の中にひっそりと残されていました。ボーリングで氷床に穴を掘ってゆくと、深くなるにつれてより昔にできた氷が手に入ります。その酸素や水素の同位体比の分析から、氷ができたときの地表面の平均気温が推定できることは、1960年代からコペンハーゲン大学のダンスガードらの研究で知られていました。氷の中には気泡やダストも含まれており、それらの分析から昔の環境を読み取ることができるかも知れなません。まず、空気が閉じ込められているはずであるから、変質をうけないようにうまく取り出せれば大気組成の変動がわかるでしょう。しかし、わずかな気泡中の二酸化炭素やメタンなど気体成分については、まだその測定手法に問題がありました。1980年代に入ってようやくその記録を読み出すことに、フランスやスイスの研究者が成功し、まず産業革命前は大気中の二酸化炭素濃度は280 ppmであったのに対し、最終氷期には200 ppm前後で約80 ppmも低かったことが、南極バード基地の氷床コアの分析から明らかにされました。引き続いて、南極ボストーク基地の氷床コアからは、過去42万年にわたる大気中の二酸化炭素やメタンが気温と連動し、いつも氷期にそれらの濃度が低くなる周期的変動をしていることも示されました[1]。氷期には陸上植物が減少していたことは明らかなので、その分の炭素と大気から減少した二酸化炭素はいずれも海洋に吸収されていたはずです。このことは、深海底堆積物中の有孔虫の炭素同位体比が、氷期にδ13C値にして平均0.35‰ほど負の側にずれている(つまり陸上植物の軽い炭素が海洋に加わった)ことによっても支持されています。
では、どのようにして氷期の海が過剰の二酸化炭素を取り込んだのでしょうか。

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